ST250
リアウインカーの移設①の続きです。
翌日再取り付けを行いました。
フレームの色に合わせてクランプは黒に塗装し、緩衝用のゴムシートは目立たない細さにハサミでカットしました。
作業中にテンションが掛かって抜けることがあったので、念のためウインカー側のギボシは作り直して被覆を付けることにしました。
ギボシについては後半で説明します。
ケーブル保護のために延長コードには細いスパイラルチューブを巻き、ワイヤーステッカーで車体に留めてばたつきを防止します。接続部に絶縁テープを巻いてショートを予防するのがベストらしいですが、やり直しの時に手間なのとビニールでべたつくのが嫌だったので省略。
ケーブルの敷設が終わったら用心しながらシートを取り付けていきます。
配線の取り回しをノーマルのST250と同じに考えていたので、いざシートを乗せてみるとキャリアやシートに踏まれる場所に配線してしまっていて何回もやり直しました。そのうちワイヤーステッカーが足りなくなってしまい、また買いに行きました(4回目)。
結果的にリアフェンダーの脇を迂回させて配線するのが一番良さそうです。あと、ワイヤーステッカーはそんなに高いものでもないんですが、完全に位置決めが終わってから固定に掛かる方が手戻りがなくて済みます。
しかしうまく配線したとて、Sカスタマイズは前後シートの間に隙間があるのでケーブルもギボシの部分も見えてしまいます・・・。フレームすれすれを通すと目立ちませんが、何かの拍子で歪んで切れたりしては困ります。ここだけ太めのスパイラルで巻いて、もう少し目立たない位置に配線したほうがよさそう。
左右共に移設が完了しました。入念に下調べしたつもりが、やっぱり何度かやり直したり追加の買い出しが発生したりして時間も手間も掛かりました。
しかし概ね満足な位置にウインカーを持ってこられたので良しとします。あとはサイドバッグガードをどうするかですね。
ギボシの方も説明します。
バイクの配線と聞くとなんだか高度な感じがして腰が引けてしまうものです。
小学校の時に豆電球を乾電池に繋げたのを思い出してください。プラスとマイナスにそれぞれ銅線をつなげば電球が光る、原理はあれと同じです。
当時は切れた配線の銅線部分同士をより合わせて電気を通したものでしたが、ギボシというのはそれをもう少しちゃんと接続できるようにした端子のこと、と考えてもらっていいです。
必要なものは配線コード、ギボシ端子のオス、メス、オス用被覆、メス用被覆、電工ペンチです。コードはともかく、ギボシ端子のオスメスと被覆は失敗することもあるので少し多めに用意した方が良いと思います。割と安価に売っていました。
コードには太さがいくつかあって迷うのですが、0.50sqとされているものを使いました。元の配線の太さに近いからです。
電工ペンチがなくても作業ができないことはありません、しかしあれば一連の作業が1本でできて便利ですし、慣れてくれば作業のやり直しも楽なのでこちらも用意していた方が良いです。自分は別々に用意しましたが電工ペンチとギボシ端子がセットになったキットも販売されています。そちらを買えば比較的安価に道具は揃えられるでしょう。
こちらがギボシ端子のオス側の金具と被覆。
少し大きい方がメス側の金具と被覆になります。
先に初期の接続例を。クロスしてわかりづらくて申し訳ないです。
元の配線の色は以下のようになっていました。
右ウインカー:緑と、黒+白線
左ウインカー:黒と、黒+白線
下側のベルギー国旗のような色をした三本の線はタイヤハウスを伝ってテールランプに延びていると思われます。今回は関係ないので無視します。
めちゃくちゃに大まかですが接続状況の概念図を描いてみました。スイッチがないとかエクセルは絵を描くもんじゃないとかそういうのはご容赦を。
各ウインカーごとに2本のケーブルが出ています。豆電球から乾電池のプラスとマイナスに繋げるための銅線が2本、電球は左右にあるので計4本の線が出ているとイメージしてください。
恐らくは黒いビニールのようなカバーが付いていますが、これはただの覆いなので深く考える必要はありません。重要なのは接続部分です。
さて、これがシート下のあたりで切られて、電源側がメスのギボシ端子で、ウインカー側がオスのギボシ端子になって接続されていました。ここに延長コードを作って配線を延ばすというわけです。
作業後の概念図です。
延長コードを間に割り込ませただけなのが分かるかと思います。
ここで配線を間違えないように黒+白線のコード側の延長に赤色コードを使うことにしました。2色の配線コードを用意したのはこのためです。間違えない自信があれば単色でもよいでしょう。
やることが分かればあとは作業に取り掛かるだけです。
延長コードの作り方ですが、まずはコードを任意の長さに切断します。
コード内の金属線を露出させるためにペンチ手元のワイヤーストリッパーと呼ばれる部分で被覆を剝きます。
5~7mmほど(ほとんど感覚ですが)先を出して挟み込み、くるっとコードを回してから、出した先の部分をつまみながらコードを引き抜きます。
そうすると綺麗に被覆が剝けて金属線だけが露出します。うまくいかない場合はストリッパーのより細い部分に差し込んで再試行。
ケーブルの両端でこれを行います。
剝いた金属線はより合わせておきます。
オス側はこのような位置関係で端子を作ります。半透明の被覆ですがオス、メスともに向きがあります。
オスは膨らんだ部分が先端側になる様に取り付けます。
先に被覆を通しておきます。後から取り付けることができないので要注意。
本当はメス側を作ってないので後で反対側から入れることもできます、しかしこの手順は癖にしておいた方が無難です。
もう一度作成時の位置関係を。
金属端子の根元にある“開いた” ツメと、次にくびれた部分のツメを電工ペンチで “閉じる” ことによってケーブルと金具を固定して端子として使います。この形状をした接続端子が「ギボシ」というもので、“閉じる” 行為を「かしめ」ると呼んでいます。
ケーブル側のビニール部が根元のツメの部分まで入っているのが見えるでしょうか。ここに引っ掛けることで最終的な抜け止めとするようです。
かしめはペンチの先付近にある専用の穴を使います。
セオリーではくびれの部分で2回かしめて、最後に根元の部分を2回かしめて留めるらしいです。まずはくびれの部分を2.0の穴で仮にかしめ、1.25の穴で本締めを行います。
かしめる前にあらかじめ金具をペンチに挟んでおいて、そこにケーブルを入れて位置を調整すると失敗が少ないです。よい位置にケーブルを合わせたらペンチを握りこみます。ちょっと力のいる作業です。
2.0の穴で仮留めができたら次は1.25の穴で本締めを行います。
うまくいけばこのような形状になって金具も取れたりしなくなります。
次は根元のツメをかしめます。まずは5.5の穴に合わせて握りこみます。
綺麗にかしめるとハート型になります。
仕上げに2.0の穴を使って本締め。
計4度のかしめを行うと前後のツメはほとんど同じ大きさになり、ケーブルをがっちりと巻き込む形になります。
そこに先に通しておいた被覆を後ろから押しこんでオス側は完成。
反対側はメスの端子として作成します。位置関係はこの通り。
端子と被覆の向きにさえ注意すればやることはオス側と同じです。
こちらも被覆を先に通しておきます。
かしめる手順はオス側と同じ。中央付近のツメを2.0 → 1.25の順でかしめ、その後根元側のツメを5.5 → 2.0の穴で加工します。
写真は一部省略。
ちょっと芯が片側に寄ってしまっていますが気にしません。メス側をかしめるとこのような状態になります。
被覆をはめ込んでメス側の完成。
一例ですが、このように接続します。
オスメス共に被覆がちゃんと付けられていれば多少引っ張ったところで接続は外れません。
この作業を計4本分。慣れてくればすいすい作れるようになります。
完成したこの延長ケーブルをウインカーと電源の間にかませてやればOKです。
作り方さえ分かればギボシの方は割と簡単な作業でした。自分の場合はウインカー側のオス端子に被覆がついてなかったので、配線を切って同じ要領でオスの部分だけ作り直しました。
ウインカーの取り付けもギボシの作成もうまくいきましたが、どうしても見えてしまう細かい配線の部分が気に入らなかったので再調整しました。
次回へ続きます。