ST250ではもはや必須といえるカスタム、リアウインカーの移設を行いました。
定番の作業ながらトラブルも多いようで、特に大きな壁として初心者の前に立ちはだかるのが「ステーの取り付け」「ギボシ作成」の二つです。
ギボシの方は聞きなれない単語な上、ちょっと調べると電装系の工事が必要らしいということ。そしてステーの方は径が合わなかったりして何度も買い直しに行ったり、あるいは無理くりに加工して取り付けられるようにするといった工程上の工夫が必要そうで、やることは単純なのに一筋縄ではいかないようです。
巷では「何でこんなところに」「設計した人はバイクに乗ったことがないのでは」と散々な酷評を受けている標準のリアウインカーの位置。個人的にはなかなか絶妙な場所にあると思っています。
タンデムしない、サイドバッグを付けないという条件付きではありますが。
現状はまったく不満のないスタイリングです。しかしゆくゆくはサイドバッグを付けたいので、今後の事を考えてウインカーの位置をずらすことにしました。
ウインカーの移設にもいくつかパターンがあり、以下3つが主流の様です。
A:ナンバープレート横に移設する
B:タンデムバー後方にずらす
C:テールランプ横に移設する(Sカスタマイズ以外)
定番なのはAのナンバープレートの横にウインカーを持ってくる方法。これだと専用のステーも販売されているので実践している人も多いです。
当初は自分もその手でいこうと考えていましたが、
ナンバープレートホルダー設置の際に述べたとおり、フェンダーの強度を不安視していることと、デザインが崩れてしまうのを避けるため、タンデムバー後方へずらす移設方法をとることにしました。
できればこの、「カブに寄せました」という感じの位置関係を崩したくないのです。
薀蓄は結構、作業開始です。
シートの下に配線があるため、まずはフロントシート下にある左右の六角ねじを回して外します。ノーマルのST250であれば12mmオープンスパナで外せます。
しかしSカスタマイズはリアサスカバーが付いていて右側はスパナが干渉して外せませんでした。
仕方ないので12mmのL型スルーレンチを買ってきました。
まさかこんな早い段階でつまずくとは・・・。
フロントシートが外れました。
内部は少々汚れているものの、事前に仕入れていた情報とは違いかなりすっきりしています。もしや前オーナーはこの空間に何か入れていたのでしょうか?
次は後方のシートを外します、が、またもSカスタマイズはシートの取り付けの仕方が異なっているため通常とは違った方法でリアシートを外さねばなりません。
通常のST250であればここで見える十字が切られた10mmのボルトと、テールランプ上部の同形状のボルト(Sカスタマイズにはなし)の計三つを外せばリアシートが解放されます。ここは10mmのスパナだと思います。
Sカスタマイズの場合はキャリア代わりになるリアシートがタンデムバーに固定されていて、これを外さねばなりません。
まずはフレームとフェンダーを固定するこの巨大な10mmの六角穴付ボルトと、
次にクランプ状に固定された5mmの六角穴付ねじが左右、計4本を外します。
車載工具にに5mm、10mmのヘキサゴンレンチがなかったのでここでもまた買い出しに行きます(2回目)。
作業中に写真を撮り忘れていて、既に移設済みの状態が映っていますがひとまず気にしないでください。作業中は余裕がないもんなのです。
シートが両方とも外れました。折角なので軽く清掃をします。
シートのブラウンがないとシックな色合いで、これはこれで。
シートを黒に換えたりウインカーのカバーを透明に変える人の気持ちが少しわかったような気がします。
次はウインカーの取り外しに掛かります。
またしても特例ですが、うちのSカスタマイズにはリアキャリアが追加で付いていて、ウインカーステーと共締めする形でフレームに留められていました。使用されていた金具は5mmの六角穴付きボルトが左右。ノーマルだとオープンスパナで回すタイプの金具で固定されているようです。
取り外したウインカーステー。ケーブルがつながったままなので、電源側で抜いておくか余計な負荷が掛からないようにどこかに引っ掛けておきます。
さて、肝心の電装系。観察してみるとフロントシート下の所でビニールに覆われたギボシと呼ばれる接続端子になって、左右のウインカーに伸びていました。(写真中央の緑のケーブル付近)
この部分が移設作業の肝となるのですが、いろいろなブログを読んでいるとどこかで切断しなければいけない、というようなことが書いてあります。ここが一番初心者には不安を与える部分ではないでしょうか。僕自身も切断を想定し、あれやこれやと部品を揃えてからいざ蓋を開けてみればこのような状況でした。
これなら既存のギボシ端子を外して、延長コードを作って伸ばしてあげればよいだけなのです。
ここは年式や納車時の状態で差があるのかもしれません。
なのであれこれと買い物をする前に一度シートを開けてみて配線の状況を確認した方が無駄が少なくて済むでしょう。
そういうわけで延長コードを用意します。
プラスマイナスを区別しやすくするために2色で分けて作りました。
ちなみにこれをハーネスと呼ぶ向きもありますが誤用なので延長コードと呼ぶことにします。ハーネスというとどうしてもクライミングのハーネスやペットのものが先に思い浮かびます。
ウインカーを移設する位置にクランプを仮設置。大体の位置決めをします。
今回使用したクランプ。ステンレス鋼管(厚肉管)用の蝶番式立バンドです。
水道管用のクランプを流用する例があったのでそれに倣い近くのホームセンターで買ってきました。アルミのクランプだと薄くて取り回しも良さそうですが、耐久性なども考慮してステンレスでしっかりとしたものを選択。
当然バイクのフレームに使われることなど想定していないのでサイズを選ぶときに苦労しました。内径がぴったりのものを買うと取り付け部が広がってウインカーが付かず用をなしません。また買い出しに行きます。(3回目)
最終的に「20」と書かれたサイズを使用しました。
もともと付いていたネジが流用できることも確認(下側)。
裏側は六角ナットになっていてしっかりと締めることができます。
クランプを設置する部分に1mm厚のゴムロールを切って巻きました。タンデムバーの保護と固定力強化のためです。仮止めに配線用の絶縁テープを使っています。クランプで挟んでしまえば意味のないものですが、耐候性がありそうなので付けたままにしています。
さて、クランプの設置位置が決まったらいよいよウインカーを取り付けます。写真の状態から締めていきますが、クランプやウインカステーの角度でランプの向きが変わってくるので微調整を行いながら締めたり緩めたりを繰り返して納得する位置を探しました。
取り付け状態は以下の通り。
手前から
①5mm六角穴付きボルト
※1
②ウインカーステー
③6mmステンレスばね座金(ワッシャー)
※2
④クランプ
⑤クランプに付いていた5mm六角ナット
※1 リアキャリアの固定に必要なので同サイズのものを用意
※2 保持力の向上を期待して念のため取り付け
ウインカーが固定できればあとは先ほど作成した延長コードを既存の配線の間に割り込ませます。プラスマイナスに注意して接続しないと当然ながらウインカーが発光しないので注意。
なぜかウインカー側から伸びているオス端子には被覆がないのが気になりますが、とりあえず接続することとします。
スイッチオン。無事に点灯しました。
ギボシがうまく接続されていなかったりどちらかが外れているとハザードのように短く点滅するので異常に気付くかと思います。
とても寒い日だったのでこの日はそこまでで作業終了。最低限走れるようにだけ部品を取り付けて、翌日に反対側の移設と調整を行う事としました。
次に続きます。