ST250Etype Sカスタマイズの購入経緯について。
何でST買ったの?と聞かれることが多くなったので少し書いてみようと思います。
長いので3行でまとめます。蘊蓄は折りたたみ以下で。
・原付からの乗り換え
・丈夫でそれなりに走る経済的なバイクがほしい
・Sカスタマイズが運よく市場にあった
◆前提
(ひたすら酷使されたライブディオ)
これまで山に行くのも買い物に行くのもホンダのライブディオ(SK50 AF34)という原付に乗っていました。実家の近所の方が通勤で乗り倒していたものを大学の行き返りにと譲ってもらったお古です。
軽くて2ストでパワフル、取り回しがよいのを強みにか、はたまた「乗りつぶしていいからね」と譲ってくれた人の言葉を鵜呑みにしたのかは定かではありませんが、普段の通学や買い物はもちろん体の跳ねるような林道から車もためらう雪道まで、時には登山のために大荷物を背負ったまま片道100kmを走ったりとオフロード車並みの酷使をしてきました。
しかし引っ越しを機に山から遠くなってしまったので、とにかく今の原付よりも長く、合法的に速く走れて手頃に乗れるバイクがあればといいなと思っていたのでした。
◆Vespaに乗りたかった
(※ラビットスクーター)
僕はレトロでかわいい乗り物が大好きです。車ならミゼットやフィガロ、クーパー、バイクならVespaやラビットスクーターのような丸っこくて古びているのだか近未来的なのだかわからないデザインの乗り物には目がありません。
原付の代わりに乗るのだとすればVespaのPX150あたりにしようと思っていました。これならクラシカルな外観で一応高速にも乗れるというやや狂った選定基準です。
しかしいざ検討に入った辺りからVespaは壊れる、遅い、一緒に走りたくない等非難轟々。あげく家の近くのバイク屋さんに見に行った時もしたり顔の店員が「ベスパは日本で乗る分には構造上だめだよ?壊れるし。だけど乗りたい人は乗りたいんじゃない?壊れるし、直すけど。あと長めの距離も向いてないよ?壊れるし。」的な話し方を30分近くもするので腹を立て帰宅。
うるさい、こちとらデメリットに目をつぶってもVespaのデザインが好きなんじゃい。そもバイクは見た目で選んで買うもんじゃないの?整備しながら乗るから愛着がわくんじゃないの?原付で満足してるような人間なんだからVespaでもいいんじゃないのさ?
それでもしばらく経つうち頭が冷えてきました。
確かに走った先々で都度壊れるようじゃおちおち山道も走れないし、思えば今まで乗ってた原付は二輪の神様ホンダのバイク、自分の様なクレイジーな乗り方をしても大事に至らなかったのは信頼できるメーカーによるものだったのではと。
一旦Vespaの検討はいったん棚上げに。とりあえず免許を持っていなかったのでまだ見ぬバイクの夢想はほどほどにして教習所へせっせと通う日々にシフトしました。
◆CB400SFが乗りづらかった
(こちらはCB400「SS」でSFとは全くの別物。写真がなかったので・・・)
はっきり言いましょう、教習所のCB400SFは自分には合いませんでした。
あんなん一生乗りたくねぇ。別にスーフォアを貶めるつもりで以下を書いた訳ではないのですが、あらゆる意味でCB400SFは僕の手に余る存在でした。
・ポジショニングが合わない
いまいち乗りにくいな、というのが第一印象。
普通に座っているつもりでもブレーキペダルに足が掛かってしまっていたり、若干の前傾姿勢が嫌で腕を伸ばして乗っていると乗車姿勢が悪いと叱られていました。また、足つきもあまり良いように思えず、頻繁に足をつく教習所でこれはなかなかしんどいものがありました。
なお、自分は身長171cmで腕は長め足は短めです。
・重い
元々それなりの重量がある車体ですが教習用のランプやら何やらを色々と付けているせいで教習車は無茶苦茶重たいです。割合力持ちと思っていた自分にも引き起こしはしんどかったですし、押し歩きものたのた・・・。
それはさておき、せいぜい40km/hも出せればいいとこな教習所ではひらひら走る様な真似もしないですし、肝心かなめのスラロームも僕の運動神経のなさ故かぬるぬると通過する始末。およそ軽快と言える体験は教習所の中ではできないのではないでしょうか。もはや教習は動力で重量物を動かしに行くだけの作業でしかありませんでした。
・高い動力性能
そのくせ教習車はデチューンしてあるとは言え良い動力を積んでいるおかげか中々パワフルなもんで怖いなと思うシーンが何度もありました。
別にバイクが悪いわけではありません。多分僕の操車が下手なだけで、あれはセンスのある人が気持ちよく走るために完成されたバイクだと思います。逆にいえば回せば回すほど走るような優秀な加速性能などを自分は特に求めておらず、時折見せるそういった素性を持て余し気味に感じていました。
重い車体を優秀な動力できりきりと走らせていくようなスポーツバイク、これがCB400SFに対しての印象でした。
◆要求仕様
(トライアンフのミーティングに遭遇。あこがれのボンネビルです。)
原付の乗り換えとは言えそれなりにスペックアップは望みたい、それにせっかく買うので趣味性のあるものにしたいというのが本音な所です。と言っても利用用途で向き不向きもあるので以下の観点で探すことにしました。
・外観がクラシカルであること
・高速道路を走れること
・航続距離がそこそこあること
・軽くて取り回しがよいこと
・経済的であること
・トラブルが少ないこと
そこで購入前に比較の対象となったのが以下の車種です。
【オフロード】
・YAMAHA SEROW
・Kawasaki KLX250
・SUZUKI DF200
【オンロード】
・YAMAHA SR400
・Kawasaki ESTRELLA
・SUZUKI SW-1
【参考】
・Piaggio Vespa PX150
・Ural SAHARA
Vespaは前述のとおり除外するとして、値段と故障時のリスク回避を考えて外車は避けることにしました。ウラルのサハラなんてめちゃくちゃ可愛いんですがこれはバイクというよりは車を買う感覚ですかね・・・。
ということで一応国内メーカー、オールドルックなネイキッドか実用のオフ車あたりで選定しようと思いました。
◆山に行くならオフロードでしょ
(ド派手なジェベル。なるほどこういうのもあるのか・・・)
ってよく言われます。
僕が山ヤであることを知っている人からは今でもなぜオフ車でないのかとよく言われます、むしろそれしか言われません。でも自分は林道をがんがん走っていくタイプではないし、ある程度のダートなら他の軽いバイクでも走れるから全然平気でしょ!(そして後に林道で転ぶ)という反発心もあってか選定にはあまり積極的ではなかったりしました。
・YAMAHA SEROW
ド定番のオフツーリングバイク。
パーツも豊富!カモシカという名前も素敵!セロイストと一緒にキャンツーしよう!・・・なのはいいんですけどカラーリングが派手でフロントが跳ね上がったデザインは好みではなく、現行のセローは外すことに。少し前のセロー225は黒かったり低身長に見えて良かったのですがちょっと古いですね。
ちなみに消防庁配備のセローは無茶苦茶格好良いです。
WRはそこまでスポーツ性を求めていないので考慮せず。(あと高い)
・Kawasaki KLX250
ライムグリーンに紫のシートという、見る人が見たら卒倒しそうなカワサキ流カラーリングのバイク。カワサキ車という不安要素とタンク容量の少なさから早々に敬遠。それでも候補に挙がったのはガードやラックが付いた陸自の偵察用オートバイが格好良かったので・・・。オタク!
・SUZUKI DF200
DF200は積載装備や航続距離などが魅力で、クラシカルという要素を除いては実はほとんど決めかかっていました。海外では農耕用とヘビーデューティを感じさせる仕様でもあり、かつ最近のオフ車にはない武骨さが良かったのと関連車種に迷彩色があるというのが決め手。ゆくゆくはOD色なんかに塗りたいと思っていました。
しかしながら玉数が少なく古いためこれといってよい状態のものに出会えず。
◆見た目が好みのバイクを買え
(250TR 前後キャリアが素敵)
見た目が好みのバイクを買えば幸せと言うのは定説。見た目が好みのバイクを買いましょう。
実用重視のオフロード車もアリですがやはり1台目はクラシカルな外観のバイクに乗りたいところ。そんなわけでネイキッドを中心に探すことに。
・YAMAHA SR400
ネイキッドの中では本命だった定番どこのSR。キックオンリーのカスタムベースなクラシカルで渋いバイクです、が格好つけすぎてセルがないので格好つけられない僕には非常に厳しいです。それに少し重い点が気になり最終的に躊躇。
・Kawasaki ESTRELLA
エストレヤは街中で見掛けても「おっ」と思うようなデザインが秀逸、あざとかわいいってやつです。パーツも豊富でWシリーズのコンパクト版ともいうべきでしょうか。
この通り見た目はとても好ましいのですがエンスト頻発の評判で選択から外しました。FI車だとだいぶ改善されているということらしいですが・・・。というかカワサキ車全般は手が掛かりすぎそうな感じを強く受け警戒したのが本音な所。あとこの車両はそこそこ高いです。デザインとマシントラブルを天秤に掛け、これはなしと判断しました。
・SUZUKI SW-1
大本命SW-1は古いながらも人気のある車両です。もったりとしたデザインがなんとも言えず、というかきょうびこんな変なデザインのバイク走ってないよ・・・!それに同型エンジンを積んだ車種には見られないベルトドライブとキャストホイールという変態仕様。さすがスズキ・・・。
古い上に短命に終わったため玉数が少なく、保守という観点では不安。それに重量も200kg近くと250ccにしては相当な寸胴ぶり。でも見た目は最高・・・。ほしい時に程度の良い車両が売りに出ていればいいですが。
◆ST250というバイクがいいらしい
(きれいに磨かれたフォロワーのST250 Etype)
いい加減に煮詰まりSRかDF200のどちらかで選定に入ろうかと思った頃、ST250という車両にSW-1に寄せたSカスタマイズという限定車種があるという情報を得ました。
実の所これまでST250はノーマーク。SR400やエストレヤと比べられることが(安価という事で)非常に多いST250、みたいな印象しかなく、正直比較サイトで初めて知りました。メーカーの紹介ページを見てもいまいちピンと来ません。宣伝文句は「このノリに乗れ」??うーん…。
ところが何かのタイミングで実物を見てみたところ印象が一転。スズキのウェブサイトにある写真なんかよりも見栄えがよく車格もなかなか。特にタンクとサイドカバーのバランスが秀逸です。さらにEtypeというキャブ仕様のモデルはセル/キック併用だし、軽くて足付きもいい、燃費も抜群。地味そうに見えるが初心者もリターンライダーからも一定の評価と。あれ、これ良いのでは?
◆Sカスタマイズとの邂逅
(見積もり時に送られてきたSカスタマイズの画像)
さて、その限定車種のSカスタマイズはST譲りの軽量な車体にSW-1を意識したもったりとした外装を備えていて当初の要件にぴったりはまります。おまけに200台限定という希少性も相まって一気にSカスタマイズに気持ちが倒れました。(限定ものに非常に弱いです…)
調べているうちに程度のよい車両が入ったと情報を得て取扱元に問い合わせてみたところ、相応の経年劣化はあるものの走行距離もそこまででないという。奇しくももう一台のSカスタマイズも市場に出たのですが、こちらは距離はほとんどいっていなく状態も抜群。しかしプレミア価格で並のST250が数台買えそうな値段でした。
前者は装備もそのままで販売するとのこと。そこで購入を決めたというわけです。
(現在のST250 Etype Sカスタマイズ。外装だけゴテゴテとくっつけました。)
後からみてみればタイヤはブリジストンのほぼ新品。よく伸びるという純正チェーンも交換されていて、今では手に入りにくいリアキャリアや純正工具の入ったツールバッグ付き、ミラーも丸型に交換が済んでいて非常にお得でした。
購入してからおよそ1万km走りました、軽くて壊れにくく素直に走る良いバイクです。