2016/05/05 志田山 雨乞山 桜山で出会った山野草の紹介です。
季節柄か土地柄か、今回の山行も実に多くの草花を観察する機会に恵まれました。特にこの地域は過度に人の手が入っておらず植物の種類が豊富なように思います。特に小倉山林道後半から明日原へ分岐する少し手前では陽がよく当たるホットスポットになっていて、付近はぐっと見られる花の種類が多くなっていました。
静かな山歩きを楽しむだけでなく、こういった野山に生える花を撮りに行くのにも適した場所ではと見直したものです。
ツツジ(
Rhododendron) ツツジ科
スタート地点の小倉天満宮からして野草の宝庫。裏手には冬を除いて花が絶える期間がないといっていいほど。今回は境内のツツジが花期を迎えていました。
トキワツユクサ(
Tradescantia fluminensis ) ツユクサ科
山梨から高尾に越してきてもあまり見る機会のなかった野草。帰化種のようで繁殖力も旺盛だとのことなのですが。
名前からしても歴史があり、見た目も薄絹の様で風情はあるけども帰化種・・・。
小倉天満宮の鳥居脇の農地にて撮影。
オオツルボ(
Scilla peruviana) ユリ科
野生化したものとみられる美しいユリ科の花。普通のツルボは茎に沿って枝状に花が付くのに対してこのオオツルボはやや半球を帯びた放射状に花をつけるのが特徴。強健なようで球根が残っていれば翌年しっかりと花をつけるそうです。小倉天満宮鳥居付近の作業小屋脇に群生していました。
ナナホシテントウがつぼみの上でうろうろしていました。アブラムシでもいるのでしょうか。
セリバヒエンソウ(
Delphinium anthriscifolium) キンポウゲ科
こちらもあまり見ない花が咲いているなと夢中でシャッターを切ったのですが、調べてみるとこれも外来種との事。
相模川西部は比較的外来種も駆除されずそのままにされた状態であるようです。小倉山林道入り口や、県道511号線沿いの歩道との境にも生えていました。
しかし漢字に当てると芹葉飛燕草とは実に風情のある名前なんですね。
ハナニガナ(
Ixeris dentata var. albiflora ) キク科
小倉山林道に入ればよく見る山野草がたくさん。ハナニガナなんかは道中しょっちゅう見かけました。
ハナダイコン(
Orychophragmus violaceus) アブラナ科
街中でも見かけることの多い野草。遠くからでも目立つ柔らかな紫の花弁は春の風物詩のひとつです。
これらはいずれも511号線沿いや小倉山林道入り口付近で観察。セリバヒエンソウとテリトリーが被っています。
マルバウツギ(
Deutzia scabra) ユキノシタ科
林道でよく目立ったのは繊細なウツギの花。山ぎわに固まって咲く姿は遠目に見れば霞のよう。結構な数で群生しています。
カキドオシ(
Glechoma hederacea) シソ科
小倉山林道や関東ふれあいの道の明るい場所に比較的多く見られた本種。唇型の花弁を付ける花は雅に見えていいですね。
ヤマフジ(
Wisteria brachybotrys) マメ科
小倉山林道が明日原と三増峠への分岐に差し掛かる少し間、木々が旺盛な茂りを見せ圧迫感があるな、と思っているとふと特徴的な甘い香りが。見上げてみると藤の花。そういえば時期でしたね。
ハルジオン(
Erigeron philadelphicus) キク科
開けた明るい場所ならどこでも見られるハルジオン。山の中でも見られますが、陽性植物らしく、農地や人家の近くで群生していました。
こういう標識の根元を埋めているのも大体がハルジオン、ヒメジョオンだったりしますね。
冒頭でウスバシロチョウが蜜を吸っているのもヒメジョオン。あまり蜜は多くなさそうに見えるのですがどうなんでしょう?
ノリウツギ(
Hydrangea paniculata) ユキノシタ科
ムシカリとの区別がとても付けづらい本種。主にヤマフジ同様、林道内の少し茂りの多い箇所にまとまって花をつけていました。
ヒメヘビイチゴ(
Potentilla centigrana Maxim) バラ科
林道の途中、明日原への分岐付近で撮影。
こちらはまだ時期が早かったのか花は少ししか見られませんでした。
ツボスミレ(
Viola verecunda) スミレ科
春の名残か、気温の上がるごく低山でもスミレも見かけることができました。
チゴユリ(
Disporum smilacinum) ユリ科
関東ふれあいの道に入ると植林混じりの木陰を歩くようになり、見られる顔もまた違ったものとなります。以下2種などはその典型で、山に来たな、と感じさせるものでした。
ジュウニヒトエ(
Ajuga nipponensis) シソ科
特にジュウニヒトエは数も多く見応えがありました。
木陰で見ることが多く写真映えしない本種ですが、1枚目など日差しが入ってきていて嬉しくなりました。首都圏自然歩道という別名のあるだけのことはありますね。
ニガナ(
Ixeris dentata) キク科
これからが季節のニガナ。夏に先んじて繊細な草体がお目見え。
ヤマツツジ(
Rhododendron kaempferi) ツツジ科
桜山では植栽されたサクラやツツジが楽しめます。
本来壮観なはずの桜もGWにはもちろん鳴りを潜め、ツツジの植樹など大したことないだろうと高を括っていた自分は間違いでした。柔い朱の花の群れはよく目を引き、独特な緑の香りに包まれながら低木の間を歩くのは実に不思議な気持ちになれます。時期さえ合えば必ず寄り道した方が良いスポットです。
シャガ(
Iris japonica) アヤメ科
最後は夏の花、シャガ。明日原から関東ふれあいの道を辿って平井へ抜ける農道のような道の脇に生えていました。生存競争に打ち勝ったのか、近くの住人がシャガの花を残して草を刈ったのかは定かではありませんが、だれてくる山行終盤でこの花と出会えたのは嬉しいものでした。
見返してみれば紹介した植物の中に帰化種が結構いましたが、人家に近い山であるだけに人と関わりの深い草花が多いというのも頷けます。またそしてそのいずれも、現生種に劣らぬ魅力があるのも確か。
なかなか難しいもんですね。
【関連山行】
2016/05/05 志田山 雨乞山 桜山 01
2016/05/05 志田山 雨乞山 桜山 02
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