本州で唯一ジンベエザメ、オニイトマキエイを見ることのできる水族館、
海遊館に行ってきました。
国内外でもジンベエザメの展示がある水族館は3つのみ、それも全て日本にありさらに大都市の中にあるという事自体が非常に貴重な存在です。また、大型水族館には珍しい、ショー展示のない水族館としても有名です。
※今回は夕方に入館したため、全体的に照明が落とされていて、暗い写真が多いですが、日中であればもう少し明るい雰囲気になっています。
エントランスを抜けるといきなり水中トンネル、"アクアゲート"。小型のエイ、サメ、小魚が密になって泳ぎ回り見ていて飽きません。
その後はエスカレーターで地上8階まで一気に登ると日本の森コーナーが最上部に広がります。外から見えていた『角』の部分である幾何学的構造と植栽された木々のコントラストが美しく、日中帯であれば日差しが降り注いで気持ちが良さそうです。
海遊館ではあのビルみたいな構造体の一番上まで上がり、そこから中央の太平洋水槽を中心に、らせん状に配された18ものコーナーをぐるぐると観賞しながら下りてくるというスタイル、自由観賞ができる水族館と比べて順路がはっきりしているので迷いにくいという利点があります。
高さ数mの断崖に点々と隠れるサワガニ。上から覗くわくわく感とともにサワガニの意外な活動性も観察できるユニークな展示方法です。
白い頭がかわいいラッコ。長生きしている証拠だとか。
元気に泳ぎ回る姿はいつも人気の的です。
変わってカリフォルニアアザラシはぐったり。
小型の熱帯魚水槽も充分なサイズが取られています。
ネオンテトラがこんなにも大きな水槽で放されているのはなかなか見られない光景。海遊館ならではの演出というべきか。
大型魚も多数展示されています。ピラルクーなども飾らずに大水槽に複数飼育されていて、その体躯をじっくりと観賞することができました。
水上部には海獣に留まらず現地の雰囲気を出すための動物が飼われているのも海遊館の特徴。サギなどの大型鳥類やグリーンイグアナなどの爬虫類、カピバラやアカハナグマなどの哺乳類までなんでもあり、まさに大型総合水族館といえる顔ぶれになっています。
もちろんペンギンもいます。
もうひとつ、海遊館の最大の特徴として、同じ水槽を様々な角度から観察できる縦型の水槽が多く設置されていることが挙げられます。これは海遊館が地上8階建てである巨大なハコだからこそ実現できた配置であり、かつ、ひとつ水槽を上中下段と見せることで展示生体数に対して床面積を抑えることにも成功したひとつの例ともいえます。
おかげで、水面から魚の影を追ってみたり、
暗い水底からゆらめく魚影を探してみたりと3次元的な楽しみ方があり、旭山動物園に端を発した行動展示とはまた違った、来園者が動的に楽しめる工夫が隠されています。
館内を回っていくとふいに巨大な水槽に当たります。海遊館最大の展示水槽、水量5,400tを誇る十字型の水槽、"太平洋"です。
オニイトマキエイ
まず大水槽で出会えるのはあの"マンタ"。
水槽面すれすれに(時にひれをぶつけながら)間近まで迫ってきます。
活発に回遊。戦闘機のようなフォルムが羽ばたくように泳ぐ姿は見惚れてしまいます。
以前は宙返りが観察できるポイントがありましたが、最近は回遊ばかりのよう。
オニイトマキエイの他にも大型のエイがたくさん。
中層まで下りてくればダイバーの気分を味わえます。
太平洋水槽にはイワシの大群泳も。
ひとつの生き物のように刻々と姿を変えながらうねりを見せる群れもひとつのスペクタクルです。
ジンベエザメ
ぐるっと回り込むと本州で唯一見ることのできるジンベエザメがゆったりと深い水塊から現れます。マンタやイワシの大群泳とは別のコーナーに仕切られていて一緒に泳ぐ姿は見られないみたい。
アジや他のサメなどを従え目の前を横切る姿は圧倒的で、まさにエビスザメといった風格。現在の個体はちょっと小さめですが、それでも視界いっぱいにずぅっと泳いでいく姿を見ると興奮することに変わりはありません。
泳ぎ去る時の甚兵衛模様もきれいです。
太平洋水槽には厚さ30cmものアクリルガラスが採用されていて、そのキューブモデルを実際に見ることができます。これだけの厚みがあるのに中の対象物が歪んで見えないのは驚きです(デジカメの写真はかなりぶれていましたが)。
底物も意外と充実。
ネムリブカ、クエやコブダイなど、せわしい上層に比べて落ち着いています。
そのころ上層ではシュモクザメやエイがイワシ玉に突進中。群れが大きく形を変えるたびに子供からは歓声、大人からも思わずどよめきがあがります。
巨大な水塊だからこそ見られるダイナミックなひとコマ。
最近江の島の水族館はイワシの群れに緩みがみられるとしてクロマグロを投入したようですが、海遊館は大水槽に巨大な魚が複数いる上に、エイやサメがひっきりなしにイワシを狙うために見ている方も一種の緊張を持って自然のスケールを体験することができます。
最後はクラゲコーナーでまったり。
クラゲコーナーは落ち着いていて、必要十分な展示に留まっています。
外に出る頃にはあたりはすっかり暗くなっていて、イルミネーションが輝いていました。
天保山公園と直結していて、このあたりは入館料を払わずとも見ることができるので、ちょっとした観光・デートスポットになっているようです。
正面はペンギンだったんですね。入館前はイカかと思っていました。
子供の頃に行ったきり、かなり久しぶりに訪れましたがそのスケール感は変わらず。ジンベエ、マンタと出会う時のわくわく感といったらたまらないものがあり、大人もいつまでも大水槽の前で彼らが遊泳するのを眺めていられます。
この4月には新たな目玉としてふれあいゾーンが設けられたようで、随時改修も掛けられているようで、今後の展開も気になるところです。